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ロバ ミニ辞典
はじめに
化粧品原料のロバミルクを調べているうちに、ロバをよく知るようになりました。
日本では知られていない、フランスの「ピレネーロバ」を中心とした知識ですが、世間で一般に認知されているロバのイメージとは大違い。
なんといっても、可愛く好奇心旺盛、そして人懐こいのがロバという動物です。

日本でもロバファンが増えることを願って。
Bernard France Service
代表 ベルナール久美子
「ロバ」の今・むかし
ヨーロッパでは多くの国でロバが飼育されています。なかでもロバの種類が多いのが、フランス、スペイン、イタリアです。
古代から歴史に登場するロバは、20世紀に入ると近代化の波に押されて、忘れ去られていました。とくに農業分野では、農地を耕すトラクターが普及し、ロバは活躍する場を失い、その数は少なくなってしまったのです。
しかし近年、ロバは再び見直されています。小規模の農地ではトラクターよりもロバが適していることがわかり、有機農業を実践する農家では、ロバはエコな動物として活用が進んでいます。また、ロバミルクに対する再評価が進み、化粧品原料としても注目を浴びています。
フランスで見られるロバの種類
  • ポワトゥ(Poitou)種
  • プロヴォンス(Provence)種
  • コントンタン(Cotentin)種
  • ブルボネ(Bourbonnais)種
  • コルス(Corse)種
  • グラン・ノワール・デュ・ベリー(Grand noir du Berry)種
  • ピレネー(Pyrenees)種
  • ノルマン(Normand)種
  • ペルシュ(Perche)種
  • ピレネーロバ
    山岳地帯を含むピレネー地方の気候・風土に順化したロバ。農作業や運搬作業に適しています。
    ガスコンとカタランの 2 種類があり、それぞれ特徴があります。ガスコン種は、遠出や山岳地帯での運搬用に、カタラン種はレジャーや仕事用に適しています。山での運搬作業で活躍するガスコン種はとても力持ち。
    50kgの荷を背負い、標高差1,500m、6〜8時間に及ぶ行程もこなす忍耐強いロバとして知られます。
    生息地 フランス南部、南西部
    外観 濃い栗毛がかった黒っぽい艶のある毛並で、鼻先・目の周り・腹部は白っぽい。
    ぴんと立った大きな耳をもつ。
    性格 人懐こく、好奇心旺盛。馬に比べて“我が道を行く”ところがあります。
    記憶力も良いと言われています。
    食べ物 大麦や草。質素でエコな動物です。
    妊娠期間 11〜12 ヶ月ですが、時には 13 ヶ月に及ぶことも。
    搾乳 乳首は2つ。日に3回の搾乳で2Lほどにしかならない希少なロバミルクです。
    搾乳作業は、飼い主とロバとの信頼関係がなければ成立しません。
    また、子ロバが近くにいることが必要条件です。
    ロバミルク
    ■成分
    ロバ乳の成分組成は、人間の母乳に近いことがわかっています。
    ロバミルクは、アレルギーの原因のひとつといわれるカゼイン(タンパク質)が人間の母乳と同様極めて低く、
    また乳糖(ラクトース)の割合も近いなど、母乳に最も近い組成をもっています。
    (g/100 g) ロバ乳 ヒトの母乳 牛乳
    pH 7.0 – 7.2 7.0 – 7.5 6.6 – 6.8
    タンパク 1.5 – 1.8 0.9 – 1.7 3.1 – 3.8
    脂質 0.3 – 1.8 3.5 – 4.0 3.5 – 3.9
    ラクトース 5.8 – 7.4 6.3 – 7.0 4.4 – 4.9
    ■古代から美容・健康に重用されてきたロバミルク
    ロバミルクは、すでに古代文明の頃から非常に有名でした。
    ギリシアの医師ヒポクラテスは、あらゆる病気にロバミルクを勧めました。
    また、クレオパトラは300頭のロバを飼い、ロバミルクのお風呂に入っていたことはよく知られています。
    ローマ人は、ロバミルクで贅沢な飲み物や化粧品を作りました。実際2003年にはロンドンで、世界で最も古いフェイスクリームが考古学者たちによって発見されています。ポンペイの化粧品分野の専門家であるフェデリコ・ナポは、「ローマ人はスキンケアにロバミルクを使っていた」と指摘しています。
    ■母乳の代用品としても活用
    19〜20世紀、フランスの孤児院ではロバミルクが母乳の替わりに使われました。
    また、フランスの病院では、院内にロバ舎を建て、母乳を必要としている乳児に直接ロバから乳を与えていたそうです。それほど、ロバ乳は母乳に近いのです。
    ■現代によみがえったロバミルク
    近代化の波が押し寄せ、ロバの数は次第に減少。
    そして1990年代に入ると、ロバに対する再評価が進み、ロバミルクの生産も少しずつ復活してきました。
    ■ロバミルク(化粧品原料)の美容効果
    レチノール、ビタミン、ミネラル等を豊富に含みます。肌に潤いと自然なハリを与えます。ヒトの母乳に最も近い組成をち、肌質を選びません。
    石鹸をはじめ、スキンケア製品に配合されています。
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